Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,共感的対話(対話者の共感性や受容性によって,対話者が自律的に新しい視点を獲得するなどといった変化を成し遂げられる対話)における,認知的プロセスをモデル化することである.本研究では特に,心理臨床対話を例として検討を進めている. 本年度は,(1)異なる理論的背景を持つ臨床対話を含めた検討,(2)非言語行動と発話の意味内容との対応づけによるクラエイントの変化に関する検討を主に行った. (1)では,深層心理学的アプローチのカウンセリングと認知行動療法のカウンセリングを取り上げた.両アプローチは,その人間観や心理療法観が異なることが多いことで知られているためである.各事例における発話と沈黙,身体動作の同調性,カウンセラーの相槌的表現や視線を分析した結果,カウンセラーの視線や,発話と沈黙の構造や同調性に関しては両アプローチ間の顕著な相違が示された。例えば,深層心理学的アプローチの事例のカウンセラーがクラエイント直視している時間は,全体の約90%を示すのに対して,認知行動療法のカウンセラーは記録用紙を見ている時間がより長いことが示された.しかし,カウンセラーの相槌的表現を分析した結果,両アプローチとも共通してカウンセラーは約45%の話者交替に相槌的表現を発していることが示された. (2)では,(2)これまで分析した非言語行動を,発話内容やその臨床心理学的観点から解釈,およびクライエントやカウンセラーの内観に対応づけることにより,クライエントの内面的変化とそのきっかけとなるカウンセラーの言動を明らかにし,カウンセラーの技能について考察した.この取り組みは当初予定していなかったものではあるが,共感的対話の基盤について議論するうえで大きな手がかりを得た.
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