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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究は,日本の歴史人口学が30年前その産声をあげて以来,常に研究者を悩まし続けてきた問題を扱った。それは実際の出生数に対し,宗門改帳に記録される乳児数の割合はどの程度であるのかという問題である。これは,最近の国際的研究において,出生率の研究のひとつの核であることを考えると早急に解決されるべき課題であった。 この問題を解決するために,本研究では人口の再生産過程を表現するモデルを構築し,マイクロシミュレーションにより,この問題を解決しようとした。本研究のモデルは,厚生省社会保障・人口問題研究所およびBongaarts and Potterの研究をその基礎としたが,死亡年齢の決定,有配偶状態の決定,永久不妊症のチェック,胎児死亡の有無などのステップを含むとともに,出生数の月別変動や出生した乳児に対する月齢別乳児死亡率もモデルに組み込み,現実的なものにした。また,インプットデータは,徳川期,明治期および大正期のものを使った。 シミュレーションでは,150パ-ミルから230パ-ミルの間の7つのレベルに乳児死亡率を想定し,それぞれについてシミュレーションを実行した。その結果,宗門改帳に記録される乳児数は,全出生数の82パーセントから88パーセント程度であり,12パーセントから18パーセントの出生は宗門改帳の記録から抜け落ちるということがわかった。従来,鬼頭,速水などは宗門改帳の過少記録の程度は20パーセントから25パーセントと主張してきたが,本研究では彼らの推計はやや高過ぎるという結論が導き出された。
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