ポスト返還期の香港における国民形成と中央・地方関係の展開
Project/Area Number |
09205214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
谷垣 真理子 東海大学, 文学部, 助教授 (50227211)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 香港 / 中国 / 政治 / 香港返還 / アイデンティティー / 国民統合 |
Research Abstract |
香港返還は東アジア地域における20世紀最大の歴史的イベントの1つであった。返還後の香港の最大の課題は中国との統合問題であり、本年度は特に香港人意識を中心にして、香港大学社会科学研究センターをはじめとする香港の諸世論調査の結果を利用した。香港は中国大陸と同様に漢族中心の社会でありながら、独自のコミュニティーとしての自律性を保持している。香港の高度の自治を表現する「港人治港」という用語に見られるように、「港人」(香港人)とは「中国(大陸)人とは異なるわれわれ」を意味する。これは住民の間に「香港人アイデンティティー」が定着してきたことを示唆するが、同時に香港の中国系住民の「中国人アイデンティティー」が「政治的中国人アイデンティティー」と「文化的中国人アイデンティティー」に分裂していることの表れでもある。香港の世論調査では回答者に「あなたは香港人か、中国人か」という形式で、香港人アイデンティティーを問いかける。1997年調査では、49.2%が「香港人である」、38.2%が「中国人である」、10.0%が「中国人でもあり香港人でもある」と回答した。香港人意識を象徴する「香港人である」という回答は、これまでの世論調査と比較すると数値が低い。1996年の一部の調査を除けば、「香港人」「香港人であり中国人」「中国人」という選択肢のうち、「香港人」という選択肢を選んだ者がこれまではもっとも多かった。しかし、このような傾向を「ポスト返還期の先取り」であると単純に結論できない。住民は台湾とチベットの独立に対して否定的であり、既存の「中国国家」を肯定する姿勢が見られる。
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Report
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Research Products
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