Project/Area Number |
09207208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大浦 容子 新潟大学, 教育学部, 教授 (40092671)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1997: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 享受経験 / 演奏経験 / 熟達 / 評価的発達 / 演奏評価 |
Research Abstract |
音楽の享受経験ならびに演奏の練習経験が評価的発達にどの様な効果を持ちうるかを明らかにするため、本研究では小学校の2年生35名(ピアノ演奏技能によって未学習者、入門者、初級者に分けられた)を被験者として演奏の評価実験を行った。材料は古典派の様式のソナチネ4曲から抜き出した4つの部分である。刺激材料は音楽の専門家によって演奏された「オリジナル演奏」と、「オリジナル演奏」のダイナミクスのみを変換して作った3種の演奏である。3種の演奏とは、全ての音の音量を一定にした「平坦な演奏」、曲の半数の音の音量を無作為に入れ換えた「ランダム演奏」、音楽的に妥当な3つのルールに従って全ての音の音量を付け直した「人工的な演奏」である。曲ごとの4種の演奏で1セット。各セットを2回ずつ聴覚的に呈示し、2回目の呈示時に演奏の良さを「とても変だ」から「とても良い」まで5件法で絶対評価させた。実験の結果、演奏技能によって評価の仕方に違いがあり、(1)未学習者群ではダイナミクスのつけ方の適否は評価の基準とはなってはいないこと、(2)入門者群では「平坦な演奏」を最も高く「ランダム演奏」を最も低く評価していること、(3)初級者群では「オリジナル演奏」を最も高く「ランダム演奏」を最も低く評価し、「人工的な演奏」を「オリジナル演奏」よりも低く評価していることが明らかになった。2年生の初級者群の評定は先行研究での被験者である6年生の初級者群の評定と非常によく似たパターンを示しているのに対して、2年生の入門者群と未学習者群の評定は6年生の対応する群とは全く異なったパターンを示していた。被験者ごとの反応傾向の一貫性の分析の結果、2年生の初級者群では「どの様な演奏がよい演奏か」についての評価基準はまだ十分には安定していないものの、「ランダムにダイナミクスが変化する演奏は悪い演奏」という評価基準は獲得されていることが明らかになった。
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