先史人類学的アプローチによる現代沖縄人の基層文化の検討
Project/Area Number |
09208213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
高宮 広土 札幌大学, 文化学部, 講師 (40258752)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 現代沖縄人 / 農耕 / 南西諸島 / フローテーション / 柳田国男 / 海上の道 |
Research Abstract |
「現代沖縄人の基層文化の検討」をテーマとする際、最も重要な問題点は「現代沖縄人の起源」および「沖縄における稲作」についてであろう。「現代沖縄人」の起源に関して、港川人等の更新世人ではなく、約4000年前から人口が継続していたのであれば、『縄文後期』人であろうという仮説を筆者は提唱したことがある(高宮 1996;1997)。今回この仮説を検討した結果、「現代沖縄人の起源は意外と新しく、約2・3世紀から8〜10世紀に移住してきた人々ではないか」という新たな仮説を提唱することとなった(高宮 1998)。すなわち、約4000年前に沖縄諸島に適応した人々の子孫は、フードストレスのため、人口を維持することが困難となり、そこへ九州から(南西部)濃厚を持った人々が移住した人々が、現代沖縄人の祖先ではないかと考えるのである。形質人類学的データ、言語学的データおよび沖縄における農耕の起源を考慮する際、この新説だと説明しやすい。今後、更に検討していきたい。 次に「沖縄における稲作」についてであるが、今回柳田国男(1952)の「海上の道」説を直接的なデータである植物遺体の分析から検討した。現時点において、考古学的データは柳田説を支持するデータはゼロに等しいが、民族学的および植物学的データは柳田説の可能性を示唆するデータもある。そこで、沖縄県読谷村の所在する高知口原貝塚(2世紀)および那覇市に所在する那崎原遺跡から土壌をサンプリングし、フローテーション処理した。その結果、前者からは野生植物の種子のみが検出されたが、後者からはイネ、大麦、小麦、アワ、豆(栽培種かは不明)および雑草の種子が検出された。また、奄美大島に所在する用見崎遺跡(6〜8世紀)の土壌を不ロ-テーション処理した結果、検出できたのは野生種の種子であった。この結果は、柳田説を否定し、沖縄諸島における稲作の開始は那崎原遺跡の頃という事を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)