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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
単一量子ドットの発光スペクトル測定をおこない,そのスペクトル構造からドット中のエネルギー準位,励起子の緩和,励起子間の相互作用の強さなどについて議論した.単一ドット観察にあたり,高分解能かつ高感度な空間分解分光法として,近接場光学顕微鏡を使用した.特に,高い量子効率と励起子の真性的なふるまいを観測するため,ヘリウム温度で動作する装置を設計,試作した.試料としては,MBE成長によるInGaAs量子ドットを用いた.微弱な発光を高効率で検出するため,特に顕微鏡の針構造を工夫するこにより,非常に大きな開口数に相当する集光を実現した.この針構造の最適化は同時に,160nm(λ/6)という高い空間分解能の達成にも大きく寄与したと考えられる.発光スペクトルの励起光強度に対する依存性を詳細に調べたところ,非常に基本的なドット中のエネルギー構造に対する知見が得られた.まず最低準位からの発光強度の飽和とともに見られ始める励起準位からの発光である.ピーク間のエネルギー差から,閉じこめエネルギーの評価が可能となった.また,最低準位発光のすぐ低エネルギー側に,励起強度に対して2乗則で増大する発光ラインが観測された.そのふるまいから,この発光は励起子分子からのものであると考えられ,そのエネルギーから励起子間相互作用の大きさを議論した.このような励起強度に対する依存性の違いを手がかりに,2次元発光イメージのおのおののスポットの発光起源の同定にも成功した. 単一ドットの非線形応答観測に関しても予備的な測定をおこなった.特に,強い電場を発生させる必要があるため,針として金属の電場増強効果をねらえる構造を開発した.また微弱信号を検出するため,測定システム全体のS/Nの向上をはかり,予想される信号強度を検出するに十分な値を達成した.
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