X線・中性子散乱による融点近傍から超臨界領域におけるメタノールの静的構造
Project/Area Number |
09212225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 敏男 福岡大学, 理学部, 教授 (70158111)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1997: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 超臨界 / メタノール / 液体構造 / X線回折 / 中性子回折 / モンテカルロ計算 / 配向相関 / 水素結合 |
Research Abstract |
X線回折測定は、CH_3OHについて、25-253℃、0.1-260MPa、0.500-0.786gcm^<-3>の範囲で、圧力・温度・密度それぞれ一定の条件で行った。中性子回折測定は、3種類の同位体置換試料CD_3OD,CD_3OH,およびその混合物(CD_3OD/CD_3OH=0.36)について、-80℃(飽和蒸気圧)、25℃(0.1MPa)、253℃(117MPa)、202℃(74MPa)、253℃(14MPa)で行い、部分二体分布関数g_<HH>(r),g_<XH>(r),g_<XX>(r)(X=O,C,メチルのD)を導いた。モンテ・カルロ計算は、25.1Å(-80℃)および25.8Å(25℃)の大きさのセルに入れた254個のメタノール分子に対して、部分二体分布関数を基に改良した二体ポテンシャルを用いて行った。配向相関関数は、部分二体分布関数に対して球面調和関数展開を行い、3次元構造を得た。水素結合を2.0<r(OO)<3.4Åかつ1.4<r(OH)<2.4Åと定義して、メタノール分子当たりの水素結合数、および鎖状構造を形成しているクラスターの大きさを見積もった。室温では1分子当たり平均1.4個の水素結合が存在し、平均鎖長が2.7分子であった。一方、-80℃では1分子あたり1.8個の水素結合が形成され、平均鎖長は5.7分子であった。これらの鎖状構造では、各原子が四面体状に並んでいることがわかった。以上のことから、メタノールのクラスター構造は、融点から超臨界温度までほぼ鎖状構造を保っており、水素結合で連結した鎖の長さが温度と共に変わるものと結論した。一方、超臨界温度でも水素結合が存在することが示された。亜臨界および超臨界状態では、室温で存在した鎖状構造が壊れて、五〜六量体のクラスターが存在することが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)