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¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
酸化物イオン伝導度の大きな(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2をベース電解質として、アルカリ土類金属の酸素酸塩を第2成分として加え、酸化物イオン伝導度への影響を調べた。ベース電解質の(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2は溶解しないため、1200℃程度で融解する酸素酸塩としてCaMoO_4(mp.965℃)を選び、さらに比較のために、MgMoO_4,SrMoO_4BaMoO_4およびCaWO_4,BaWO_4を第2成分として取り上げた。 モリブデン酸塩を20mol%添加した試料のイオン伝導度を調べたところ、カルシウム、ストロンチウム、バリウムと変わるにつれて伝導度が低下し、400℃で(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2単独の値(0.34mScm^<-1>)の約1/2であった。カルシウムからバリウムへかけての伝導度の低下は、この順に添加物の融点が高く、1200℃の焼結温度では(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2と添加物粒子との接触が十分ではないことを反映しているものと思われる。15mol%タングステン酸塩との複合系についてイオン伝導度を調べたところ、タングステン酸ストロンチウムの場合には(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2と比較して40〜50%の値しか示さなかったが、タングステン酸カルシウムの場合には350℃以下で(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2よりも高い伝導度を示した。タングステン酸塩を複合させた場合の方が伝導度が高いのは、焼結時に両成分粒子の接触が融点と焼結温度の関係だけで決まるのではなく、添加物を構成するイオンの大きさも関係していることを示唆するものである。以上のことから、従来型の複合系固体電解質は本系では実現できなかったことになる。活性化エネルギーと頻度因子との間の正の相関は接触する異種粒子界面での空間電荷層に基づく伝導度の変化とは別のイオン伝導機構が働いていることを示唆するものである。頻度因子は試料の作成方法によって大きく影響されるといわれており、焼結方法を工夫することにより(Ce_<0.8>,Gd_<0.2>)O_2母体のイオン伝導度を上回る可能性がある。
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