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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本年度は,抗体固定化法が走査型電気化学顕微鏡(SECM)のレスポンスに与える影響および局所固定化抗体の抗原捕捉能に関して検討した. パーオキシダーゼ(HRP)標識CEA抗体をガラス基板上に,物理吸着あるいは二価性架橋剤を介した化学結合により固定し,さらにサンドイッチ法によりHRP(パーオキシダーゼ)標識抗体を固定した.得られた基板を,1.0mM ferrocenylmethanol(FMA),0.5mM H202溶液(0.05 V vs Ag/AgCl)でSECM観測した.HRPはH202によるFMAの酸化を触媒するので,生成したFMA+の還元電流を計測することにより,局所領域のHRP活性を評価できる.HRP固定化領域で還元電流の探針-基板距離依存性を調べ,基板表面におけるFMA+生成フラックスを求めた.フラックスは抗体の固定化法に大きく依存し,二価性架橋剤で処理した基板を用いた場合には,疎水性相互作用により抗体を固定した場合に比べ,10倍程度HRP活性が高いことが示された. また,微小領域のみに抗体を固定した基板の抗原濃縮効果に関して,数値解析を行なったところ,例えば,半径10μmの微小円部に抗体を固定した基板では,平面基板に比べ捕捉された抗原の密度は,基板浸漬後10秒では約10倍,10分後には680倍高いことが示された.つまり,抗体局所固定化基板を使用することにより,溶液中に依存する希薄抗原を,短時間で局所濃縮できることになる.この結果は,微細加工を施した基盤の利用は,サンプル量の少量化や集積化という観点だけでなく,計測時間の短縮や検出感度の向上にも有効であることを示している.
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