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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
人工現実感を自然にかつ効果的に生成するには,受け手である人間の特性をよく知る必要がある。本研究では脳磁気などの測定を通じて,空間的に広がりをもつ外界の知覚を形成する脳内過程を調べた。方法としては,時間-空間分解能のバランスに優れる脳磁気計測を中心に据え,脳波やPETなどからの情報や動物実験による電気生理学的な知見を副次的に利用して,実際の人間の脳内における電磁気的活動源の位置を推定し,それをMRI画像上に比定した。対象として視覚および聴覚を選び,それらが個別に,あるいは組合せとして脳内で処理される過程を,感覚・弁別・認知などの異なるレベルで検討した。 まず感覚のレベルでは視覚刺激と聴覚刺激を同時に与え,その組み合わせに対して反応する作業時における情報処理の様式を,主として時間的な推移に関して検討した。その結果,刺激呈示後約100msの潜時において視覚野と聴覚野がそれぞれ活動しており,その活動の大きさもほぼ拮抗していることから,この時点では視覚と聴覚がほぼ独立して各感覚モダリティでの処理を行っているものと考えられる。一方,潜時350ms以降では課題に特有の波形(単一モダリティにおけるP300mに相当)が観測され,この時点ではすでに両感覚の統合が行われていることを示している。また,モダリティの増加がこの反応の遅延をもたらすことなどから,潜時200〜300msにおいて両感覚の間に統合のための相互作用が起こっていると考えられ,その具体的な活動源の検討を行った。 また,弁別や認知の高次機能についても従来の研究を推し進め,聴覚弁別に関しては海馬を中心とする活動を時間・空間的により詳細に調べた。さらに内的視覚操作に伴う脳内過程についても,運動前野の活動と時間的に並行する下頭頂小葉を中心とした活動の具体的な活動源を見出した。
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