Project/Area Number |
09226202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶谷 剛 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80134039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 泰弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30211832)
社本 真一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90235698)
豊田 直樹 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (50124607)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 有機導電体 / 超伝導 / 擬一次元有機金属錯体 / 中性子散乱 / 構造解析 / ハルデンギャップ |
Research Abstract |
本研究は、(1)BEDT-TTF分子を伝導層とする有機導電体の超伝導性と磁性に関する物性測定、(2)擬1次元有機金属錯体の構造と物性、とりわけ磁性に関する測定、および(3)金属水素化合物の物性測定が目的である。BEDT-TTF化合物はこの分子が層状に並んだ、ほぼ理想的な2次元的金属伝導系であるのに対して、擬1次元有機金属錯体は文字通り1次元的である。この系には白金系のような典型的な1次元金属相もあるが、本研究に取り上げた陰イオン架橋金属錯体は室温以下の範囲では、Ni-Br系等を除くと大部分が金属イ才ンの2種類の価数が規則正しく並ぶ、いわゆるCDW状態にある。今期、(1)の研究として、α-(BEDT-TTF)_2NH_4Hg(SCN)_4及びその重水素置換体を作成して、強磁場中の帯磁率測定とNMR測定を行い、50K付近の帯磁率の異常が磁気構造の変化を伴う相転移であることを見いだした。また、超伝導性有機導電体k-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2の冷中性子散乱実験をJRR3M-AGNESを用いて1.5Kから300Kの温度範囲で実施した。この測定は以前にKEK-LAMD,LAM40を用いて行ったことがあるものだが、改めてAGNESで再測定した。その結果、超伝導転移温度近傍で、超伝導ギャップ2Δ(T=0)≒2.8meV直上と直下のエネルギー領域のフォノンの状態密度にフォノン-電子相互作用による一連の変化が見いだされた。(2)の研究としてNi^<2+>が3個の窒素イオンを介して擬1次元的に結合した新しい化合物のNDMAZ単結晶を育成して結晶構造解析、帯磁率測定及び、冷中性子散乱測定を行い、隣接するNi^<2+>イオン同士の交換積分Jとハルデンギャップの測定を行った。その結果、この物質のハルデンギャップは1.75meVであり、擬1次元系の類縁物質であるNENPのギャップよりも多少高いが、Jとの比ではNENPと誤差の範囲以内で一致している事が分かった。(3)の研究として、L1_2型規則相のYPd_3H_xを取り上げ、水素の侵入位置を、粉末中性子回析測定と、熱中性子分光測定によって研究した。分光測定から、55meV付近に水素の局在振動ピークを見いだしている。結晶構造を分析したところ、水素は2個のYと4個のPdが配位した八面体格子間位置にあることを見いだした。
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