極低温量子固体中でおこるトンネル反応の分光学的研究
Project/Area Number |
09226217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志田 忠正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60025484)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 量子固体 / 固体水素 / トンネル反応 / 低温 / 分光 / 赤外分光 / ラマン分光 / フリーラジカル |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体パラ水素をマトリックスとするマトリックス分離法を用いると、気相と同程度あるいはそれ以上の分解能で溶質分子の振動および回転分光が可能であるという固体水素の特性を生かし、化学的に活性な状態を持つ分子を固体パラ水素内に生成し、その分子とまわりの水素分子との極低温におけるX+H_2→XH+Hの型の反応素過程のダイナミックを高分解能レーザー分光法を用いて追跡することにより、反応に寄与するトンネル現象などの量子効果の寄与を分光学的に研究することにある。本年度は、メチルラジカルと水素分子との反応を主として研究した。固体水素中に捕捉したヨウ化メチルの光分解により生成するメチルラジカルと水素分子との反応を赤外分光法により追跡し、メチルラジカルは基底状態では水素分子と反応しないが、重水素化したメチルラジカルでは基底状態でも水素分子と反応してメタンを生成することが明らかとなり、この反応が純粋なトンネル反応によるものであることを示した。このトンネル反応の速度を4.7^*10^<-6>s^<-1>と決定した。この反応速度には媒質の量子性が影響しているはずであり、現在さらに詳しい解折を行っているところである。またメチルラジカルと重水素化メチリラジカルの違いはゼロ点振動によるものであることを明らかにし、トンネル反応におけるゼロ点振動の重要性を指摘した。一方、メチルラジカルの光励起後続反応では、メチルラジカルをB状態に光励起するとメチレンに解離し、すぐ水素分子と反応してメタルが生成する反応経路があることを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)