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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
二核鉄及び銅酸素(mu-パーオキソ)錯体は,酵素運搬体であるヘムエリトリンやヘモシアニンの機能モデルとして,また酸素化触媒であるメタンモノオキシゲナーゼ(鉄および銅錯体)の酸素活性化機構を理解するうえで重要であり、本研究でこれら二核金属タンパクの精密モデル錯体の構築を目的とした。今年度は,二核鉄酸素錯体の酸素親和性の制御機構,および銅(I)錯体による酸素活性化機構に重点を置いて研究を行い以下の成果が得られた。 銅錯体:銅(I)錯体による酸素分子の活性化機構について立体的にかさ高い置換基を有する様々な三脚型四座あるいは三座配位子を用いて調べた。その結果,(bis(6-methyl-2-pyridylmethyl)(2-pyridylmethyl)amine:Me_2-tpa)を配位子とする銅(I)錯体と酸素との反応によりdi(mu-oxo)Cu_2(III)コアーを持つ高原子価オキソ錯体の合成・単離に成功しその結晶構造を明らかにした。この種の高原子価オキソ錯体は酸化・酸素化活性種と推定されており,その反応性は大変興味が持たれる。さらに銅(I)錯体と酸素分子との反応により配位子に組み込んだメチル基の水酸化やカルボン酸への酸化反応を見いだした。この反応はメタンモノオキシゲナーゼのモデル反応として注目される。 鉄錯体:様々な立体化学を有する二核化配位子を含む二核鉄パーオキソ錯体の酸素親和性を測定し,熱力学的パラメータを求めた。その結果,二核化配位子の架橋基の立体化学によって酸素親和性を数万倍の範囲で制御可能であることがわかった。またこれら錯体の酸素親和性はエンタルピー効果よりもエントロピー効果により大きく支配されていることが明らかとなった。
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