FTIR分光法による生体金属分子反応中心の微細構造の動態追跡
Project/Area Number |
09235213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神取 秀樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70202033)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | プロトンポンプ / 赤外分光法 / 水素結合 / バクテリオロドプシン / チトクロムc酸化酵素 / 偏光法 / 時間分解法 / 酸化還元 |
Research Abstract |
本研究ではチトクロムc酸化酵素やバクテリオロドプシンなどのプロトンポンプ蛋白質において、活性中心における反応がどのように1方向のポンプを実現するのかを明らかにすることを目的とした。このため、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法を用いた微細構造解析を行ったところ、本年度は以下の研究成果が得られた。 (1)バクテリオロドプシンの構造解析:膜蛋白質におけるプロトンポンプには水分子が関与することが考えられるが、我々はこれまでに赤外分光法を用いて蛋白質に結合した水分子の水素結合変化を直接、観測することに成功している。このような水分子が蛋白質内部の制限された空間にどのように存在するのか明らかにするために偏光FTIR分光法を用いた実験を行ったところ、3643cm^<-1>に伸縮振動をもつ水分子はその双極子モーメントが膜の法線に対して60°の角度を成すことがわかった。水分子は蛋白質内部で特定の配向をしており、その変化がプロトンポンプをもたらすことが示唆された。一方、新たに導入した時間分解赤外分光法から低温では捕捉できないO中間体を捉え、特有の蛋白質部分の構造変化を明らかにした。さらに発色団レチナ-ルの変化から遅延した蛋白質部分の変化を見出した。4ナノメーター程度離れた膜の間をプロトンを輸送するためには協奏的な蛋白質の構造変化が要求されるが、このような時間的な遅延は構造変化の因果関係を考察する上で重要な知見を与えるものと考えられる。 (2)大腸菌末端酸化酵素の構造解析:大腸菌末端酸化酵素に対してFTIR測定を行うための最適な条件を検討した。赤外分光法を適用するときにいちばん問題となるのは、試料に含まれる水の問題であるが、現在のところペレット試料を用いて構造変化が測定可能であることを確認できた。特に電子供与体としてボフラビンを用いた光還元により、酸化型と還元型の間の差スペクトルを得ることに成功した。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)