ペルオキシダーゼの静的および動的立体構造に基づく基質の活性化機構の解明
Project/Area Number |
09235217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / X線結晶解析 / 蛋白質の立体構造 / 基質結合部位 / 酵素反応機構 |
Research Abstract |
ペルオキシダーゼは生体内で生じた過酸化水素を除去するだけでなく、反応過程で生じる活性種を用いて様々な生体物質の代謝に関与している。この酵素は過酸化水素を用いて、ヨウ素イオンなどの無機化合物だけてなくフェノール類などの有機化合物の酸化をも触媒する。この酵素反応は、過酸化水素が分解され酵素自身がcompoundIとよばれる分子種になる過程と、compoundIが還元剤により元の酵素に戻る過程からなる。このうちcompoundIを還元する過程については、基質の結合部位さえもよくわかっていない。本研究では真菌Arthromyces ramosusが分泌するペルオキシダーゼ(ARP)をとりあげ、芳香族化合物をはじめとする基質がARPにどのように結合し・活性化されるかを調べた。 1.ARP結晶にbenzhydroxamic acid(BHA)とsalicylhydroxamin acid(SHA)を各々soaking法によって結合させ、これらの複合体結晶のX線解析によりBHAとSHAの結合様式を決定した。BHAはヘムの遠位側にヘム面とほぼ平行に結合し、BHAのOH、NHおよびC=Oは、それぞれHis56Nε、Pro154 O、およびArg52Nεと水素結合していた。SHAもBHAとほぼ同様の様式でARPに結合し、o-位のヒドロキシル基はARPとの結合に関与していなかった。これらの結果から、compound Iが還元基質から水素を引き抜く際、遠位ヒスチジン(His56)が直接反応に関与していることが示唆された。 2.上記の反応機構を確かめるため、より広範囲の基質に対して結合部位を同定することを試みた。p-クレゾール、レゾルシノールおよびルミノールは解離定数が大きいので結晶を凍結して測定したが、これらの基質分子は電子密度上に現れなかった。また BHAと同程度の解離定数を持つアスコルビン酸についても同様の結果となった。これらの基質はARPと特定の結合様式をとっていない可能性がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)