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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
1)様々な三核銅錯体の合成・結晶構造・磁性:トリピリジン配位子tris(6-methylpyridyl)methane(L^1)、又は、bis(6-methylpyridyl)pyridylmethane(L^2)とCuX_2(X=Cl or Br)をMeOH中で、一晩反応させた後にNaOHおよびNaPF_6を加えて、三核銅錯体[Cu(L^1O)]_3(X)(PF_6)_2(X=Br,1,Cl,2)、又は、[Cu(L^2O)]_3(X)(PF_6)_2(X=Br,3,Cl,4)を得た。単結晶X線構造解析から、1-4の構造は、正三角形型の三核銅錯体である事がわかった。磁化率の温度変化の測定から、1-4についてのJ値をそれぞれ-19.24,-4.80,-3.70,-0.30cm^<-1>と決定した。これらの値は、1-4において、銅-銅間に弱い反強磁性的相互作用が働いていることを示している。従来の正三角形型三核銅錯体は、ほとんどの場合、銅-銅間に強い反強磁性的相互作用を示している。従って、1-4は、従来にない特異な磁気的相互作用を示す三核銅錯体として重要である。また、1-4のJ値はpMMO三核銅中心のJ値と類似していることから、1-4はpMMOの三核銅構造を研究するための構造モデルとして期待される。 2)配位子水酸化機構の解明:三核銅錯体1-4の生成過程で配位子LはLOHへと水酸化されていた。これは銅が触媒するアルカンの水酸化反応であり、銅含有モノオキシゲナーゼの反応と関連するので、反応機構を解明することは重要である。そこで、(1)^<18>O_2を用いた同位体ラベル実験、(2)中間体の単離、(3)中間体の反応性の検討、(4)中間体の分光学的・電気化学的研究により、水酸化機構を明らかにした。この反応では、銅(II)イオンそのものが酸化剤として作用する事が明らかになった。即ち、配位子の炭素ラジカルから銅(II)イオンへの1電子移動によって銅(I)イオンと配位子カルボカチオンを生じる。このカルボカチオンにMeOHが求核攻撃して、配位子が一原子酸素化される。これは、銅(I)錯体及び中間体の結晶構造解析によって証明された。
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