光による常磁性種間の磁気的相互作用の制御 〜光磁石への指針〜
Project/Area Number |
09236202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20282022)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 光磁石 / ラジカル / フタロシアニン |
Research Abstract |
常磁性種-色素-常磁性種-色素-常磁性種-・・・という集合体においては、光照射中には色素が励起三重項を形成し、これを介して常磁性種間が磁気的に相互作用し、光照射前とは異なった磁気的性質を示すことが考えられる。これは光により磁気的性質が制御されることを示し、“光磁石"への新たな指針となり得る。そこで最も簡単なモデルである安定ラジカル-色素-安定ラジカル系の研究を行った。ここで安定ラジカルとしてはTEMPOラジカル、色素としてはシリコンフタロシアニンを用い、新規にTEMPO-SiPc-TEMPOを合成した。定常状態ESRスペクトルより、2つの二重項ラジカルで形成される一重項-三重項間のエネルギー差は、〜10^<-3>cm^<-1>と大変小さいことが解った。20Kの時間分解ESR測定では、基底状態の信号とは明らかに異なった信号が観測され、励起三重項色素を介してラジカル間が相互作用した励起状態に帰属された。これより、当初の予想通り、励起状態において基底状態より大きな磁気的相互作用が発現していることが示された。さらに、室温における時間分解ESR測定より、大変興味深い現象が見いだされた。光励起後2μsのスペクトルから、光励起前より光励起後の基底状態において、三重項により多く分布していることが解った。これは、励起三重項フタロシアニンと二つの二重項TEMPOから形成される励起五重項からの失活が、基底一重項に対してよりも、基底三重項に対して選択的であることで上手く説明された。これは、現在報告されている光により磁気的性質を制御する機構(光誘起スピンクロスオーバー錯体、光化学反応、光誘起電荷移動)とは原理的に異なり、光により常磁性種間の磁気的相互作用を制御する新たな指針となり得ると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
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