Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
典型元素金属,貴金属の表面に置換した磁性イオンからなるクラスターの電子状態・磁性を計算し,その結果に基づいて,クラスターサイズおよび形状が磁性および物性にあたえる効果を評価し,新しい物理現象の可能性を探ることが本研究の目的である.出発点としてアルミニウム中のコバルト・クラスタをとりあげて,クラスタのサイズを広げたとき生じる磁性について調べた.実験的には,Fe,Co,Niは非アルミニウム中でいずれも非磁性である.一方,局所密度近似の範囲での不純物計算によれば,アルミニウム中のCo,Niは磁性であるが鉄は局所磁気モーメントを持つ.このような食い違いは局所密度近似が束縛一重項の存在を考慮していないため当然のことであるが,不純物がクラスタを作り,それが十分なサイズになれば,解消されるはずのものである.計算は局所密度近似のもとで,KKRグリーン関数法を用いておこなった.まず大きなサイズのユニットセルを含むAI母体に対するバンド計算を実行することにより実空間での母体グリーン関数を作る.母体中に埋め込まれた任意の不純物クラスターの電子状態は,このグリーン関数を用いて,ダイソン型の代数方程式を解くことによって求められる.計算の結果,磁性の現れる最小のクラスターはコバルト原子を3個を最近接の正三角形にならべたものであることがわかった.クラスターのうちこのようなユニットをふくむものは全て磁性的にあるのに対して,このようなユニットを含まない物はサイズが大きくなっても磁性を示さない.特に,同じ三角形のユニットでも頂角が90度のものは非磁性である.頂角が90度をつくる三角形のみを含む場合には反強磁性交番磁場を加えたときの帯磁率がきわめて大きい.実際,非磁性への収束はおそく,収束前の状態は強磁性的配列ではなく反強磁性的であり,反強磁性ゆらぎが大きいことを示している.このことから,このような三角形を並べて作られる一次元鎖は反強磁性的であることが予想される.
|