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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
金属単結晶電極により得ることができるようになった「表面構造のよく規定された」電極/溶液界面において,不均一電荷移動反応速度が,単結晶電極の結晶面方位,吸着種の有無,及び吸着状態などの,電極/溶液界面の表面状態にどのように依存するかを調べ,電極反応機構を明らかにする目的で,本研究を進めている。このような観点から本年度は,白金(111),(100)及び(110)電極表面におけるヘキサシアノ鉄(II/III)イオンのレドックス電極反応,[Fe(CN)_6]^<4->=[Fe(CN)_6]^<3->+e^-,の不均一電子移動反応速度に対する結晶面方位,支持電解質の種類や電極表面吸着種の影響などについて検討を行った。交流インピーダンス測定の結果,白金(111),(100)及び(110)表面における0.1M KClO_4水溶液中での,上記電極反応の式量速度定数は面方位に依存し,(111)>(100)>(110)の順に小さくなることが示された。この結果は,この電子移動が単純な外圏型で進むのではないことを強く示唆している。いずれの面方位の電極においても表面にシアノ基由来の化学種が強く吸着していることがin situ赤外反射測定により明らかになった。すなわち,白金電極表面ではヘキサシアノ鉄(II/III)イオンは一部分解して,生成したCNが電極面上に単分子層レベルで吸着し,その上で電極との電子交換反応が進行している。CN溶液中における白金(111)単結晶電極では6個のCNのが環状に規則的に吸着し,その中心に捕捉された電解質のカチオンを介してトンネル電流が流れやすくなっているというSTM測定の報告がある。ヘキサシアノ鉄イオンが吸着カチオンにより電極と架橋された活性錯合体を経て電子移動が進行する機構により,その吸着構造が最も安定化される(111)面での速度定数が最大になることを説明できる。
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