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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
ガリウム元素は周期律表で13族第4周期にあり,アルミニウムの一つ下に位置している.有機ガリウム化合物は半導体製造に大量に使われているが,有機化学的にはほとんど取り上げられなかった.同族の有機アルミニウム化合物に比べて,特徴的な性質を見い出すことができなかったためである.しかし最近,我々は新しい着想によって,有機ガリウム化合物に特徴的な新反応を見い出しつつある.特に,塩化ガリウムが炭素-炭素不飽和結合を強く活性化することが分かってきた.本研究では,この新しい有機ガリウム化合物の化学を解明するとともに,オレフィン,アセチレン,芳香族化合物といった不飽和化合物を直接カップリングさせる新反応の開発を行う. 塩化ガリウムを用いると,芳香族炭化水素がシリルアセチレンと反応し,β-シリルビニル化物を与えることを見い出した.これはFriedel-Orafts反応で芳香族直接C2-オレフィン化に始めて成功したものである.反応促進剤としては,塩化ガリウムのみが有効で,塩化アルミニウムを始めとするルイス酸,プロトン酸,および固体酸ではビニル化物を与えない.本反応に関わる新しい親電子的中間体が,極めて高い反応性を有していることも明らかにした. 有機ガリウム化合物の特徴として,不飽和結合にカルボメタル化を起こすこともわかってきた.アリルシランとシリルアセチレンあるいは末端アルキンを塩化ガリウムで処理すると,アリルシランがトランスメタル化を起こした後に,カルボメタル化反応が進行し,ビニルガリウム中間体が生成する.これを水で反応停止すると,1,3-ジエン類が収率よく得られた.種々の有機金属化合物でアセチレンのアリルメタル化が知られているが、本反応は比較的幅広い基質に適用できることと,反応が室温で速やかに進行する特徴がある.
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