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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
我々は炭素-硫黄結合切断反応等を利用することにより、M=Se,M=S,M=0結合をもつ前周期遷移金属錯体の新規合成法の開拓を行なっており,その一環として本研究課題では立体的に嵩高いペンタメチルシクロペンタジエニル基(Cp^★=C_5Me_5)を補助配位子としてもつ、一連の第6族遷移金属カルコゲニド錯体の合成に成功した。 例えば、半サンドイッチ型タングステンクロリドおよびモリブデンクロリドとリチウムチオラート類との反応について検討した。Cp^★WCl_4(Cp^★=C_5Me_5)とチオラートのリチウム塩LiSCMe_3,LiSCH_2CH_2SLiとの反応では容易に炭素-硫黄結合切断が起こり,末端スルフィド結合をもつ錯体Cp^★W(S)_2(SCMe_5),[Cp^★W(S)_5]が生成した。一方、Cp^★MoCl_4を用いた同様の反応では炭素-硫黄結合切断は観測されず、それぞれチオラート錯体Cp^★Mo(SCMe_3)_3,[Cp^★Mo(SCH_2CH_2S)_2]が得られた。タングステンの反応では,金属が5価から6価に酸化されているのに対し,モリブデンの場合は4価に還元される。次に,Cp^★Mo(SCMe_3)_3とS_8との反応からはCp^★Mo(S)(O)(SCMe_3),Cp^★Mo(S)_2(SCMe_3),Cp^★_2Mo_2(S)_2(μ-S)_2が単離された。S_8はモリブデンを6価に酸化する。また,Cp^★Mo(SCMe_3)_3に乾燥した酸素を導入すると,Cp^★Mo(O)_2(SCMe_3)を選択的に与える。また,無機セレンとの反応ではCp^★Mo(S)_2(SCMe_3)と2核錯体Cp^★_2Mo_2(E)_2(μ-E)_2(E=S,Se)が単離された。Cp^★Mo(S)_2(SCMe_3)の末端スルフィドの生成は,一部のチオラートの炭素-硫黄結合切断にもとづくことになる。一方,Cp^★Mo(SCMe_3)_3と4倍当量のヒドラジン類(Me_2NNH_2またはPhNHNHPh)と反応させることにより,Cp^★Mo(S)_2(SCMe_3)を得た。続いて、Cp^★Mo(S)_2(SCMe_3)と過剰の無水Li_2S_2をTHF中室温で反応させた後,CH_3CNiUPPh_4Brを用いてカチオン交換することにより、赤色結晶として(PPh_4)[Cp^★Mo(S)_3]を得ることに成功した。
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