生体異物代謝促進機能をもつ糖鎖高分子の設計とその機能制御
Project/Area Number |
09240231
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
橋本 和彦 工学院大学, 工学部, 教授 (20023484)
|
Project Period (FY) |
1997
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | D-グルカル酸 / 糖鎖高分子 / 阻害剤 / 生体異物 / 代謝 / グルクロン酸抱合体 / 解毒 / β-グルクロダーゼ |
Research Abstract |
生体異物が体内に吸収されると、肝臓でD-グルクロン酸抱合体を形成し、体外に排泄される。しかし、小腸内にβ-グルクロニダーゼが存在し、異物の代謝を妨害する。そのため、この酵素の活性を阻害すれば、生体異物の排出を促進することができると思われる。本研究ではβ-グルクロニダーゼの拮抗阻害剤として知られている、D-グルカル酸を側鎖に導入した水溶性の合成高分子を設計・合成し、そのβ-グルクロニダーゼ活性の阻害機能を検討した。D-グルコースの硝酸酸化法を用いて得たD-グルカロ-6,3-ラクトン1とp-ビニルベンジルアミン2との無触媒開環付加を経て、カリウムN-p-ビニルベンジル-D-グルカル-6-アミド-1-アート3を合成した(収率,45%)。3とアクリルアミドとの共重合を、0.1Nの塩化カリウム水溶液中で60°Cで24時間行い、水溶性のポリマー4を得た。基質として、p-ニトロフェニルβ-D-グルクロニド5を選び、β-グルクロニダーゼによる加水分解速度に対する、水溶性のポリマー4の添加効果を分光学的に追跡した。pH4.7の酢酸緩衝液中、37°Cで基質濃度7mmol/L、4のグルカル酸部位の濃度7.5mmol/L、酵素濃度12FU/Lの条件で、阻害率は90%と非常に高い値を示した。コポリマーのグルカル酸部位の濃度と阻害率および共重合体組成の関係を調べた結果から、コポリマーの表面に存在するグルカル酸部位とβ-グルクロニダーゼの活性部位との相互作用が阻害率に大きく影響することがわかった。β-グルクロニダーゼの活性を阻害する高分子に関する、類似の研究は申請者らが調べた限りではまだ例がない。本研究により得られた高分子阻害剤は臨床分野での阻害作用機構に関する研究に役立つと思われる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)