Project/Area Number |
09241219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増原 宏 大阪大学, 工学部, 教授 (60029551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 蛍光スペクトル / ピコ秒蛍光ダイナミックス / 電荷移動錯体 / 有機微結晶 / テトラセン / アントラセン / マイクロドメイン |
Research Abstract |
分子系固体の微症領域における光励起エネルギー緩和現象の解明を目的とし、ピコ秒近接場光学顕微鏡を開発した。本システムは蛍光スペクトルと蛍光減衰曲線を100nmの空間分解能で表面形状と共に測定できる性能をもち、これによりバルクと同じ精度の議論をナノメートルオーダーの微小領域について行うことが可能になった。測定対象としては、固体反応を念頭に、不均一性、発光特性、実験容易性から二成分系有機結晶、具体的にはエネルギー供与体・受容体、電子供与体・受容体系をとりあげ調べた。以下にその結果を示す。 1.近接場蛍光分光により、テトラセン微結晶の蛍光スペクトルの2つのピーク比が結晶ごと及び結晶中の場所ごとで異なり、トポグラフィーとの比較からピーク比が結晶の厚さに依存することを明らかにした。この原因を再吸収の影響、結晶の表面層における欠陥濃度の2点から議論し、後者の寄与が大きいと結論した。 2.アントラセン-四塩化無水フタル酸電荷移動錯体結晶に対し近接場蛍光分光システムを用い、蛍光強度及びスペクトルマッピングを行った。1つの微結晶中において蛍光スペクトルには位置依存性が観られなかったが、蛍光強度に不均一性が観察され、その可能な原因について考察した。 3.ピコ秒近接場顕微鏡を用いて、アントラセン-四塩化無水フタル酸-無水ピロメリット酸の3成分電荷移動錯体微結晶の蛍光スペクトルとそのダイナミックスを測定した。結晶中の枝分かれの部分にはマイクロメートルサイズのドメインが複数存在し、蛍光スペクトルと蛍光寿命の違う2種類の結晶構造から成ることがわかった。また蛍光強度が弱く、蛍光寿命の短いドメインも確認され、エネルギーを受け取る消光サイトが局在していると結論した。
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