Project/Area Number |
09242205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水林 博 筑波大学, 物質工学系, 教授 (40114136)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 非晶質合金 / 構造緩和 / 結晶化 / 通電効果 / 原子の集団運動 / 電気泳動 |
Research Abstract |
非結晶合金に電流を通じると構造緩和過程および結晶化の均一核形成過程が促進される.この現象を利用して相変態に関する原子スケールでの知見を得る目的で、非晶質Pd_<80>Si_<20>合金についてパルス通電による結晶化過程を調べた。パルス通電はジュール熱による温度サイクル効果とそれ以外の電気的・磁気的効果からなっており、前者は独立に測定した。結晶化完了温度まで連続昇温した後に得られる結晶相は主としてfccーPd(Si)とPd_3Siで文献報告と合致する。一方、結晶化初期まで一旦昇温後室温へ冷却した部分結晶試料中ではfcc-Pd(Si)とPd_3Siが主成分のように見えるが、再昇温での結晶化完了後ではfcc-Pd(Si)が消え、Pd_9Si_2とPd_3Siからなる。パルス通電では結晶化開始温度が低温側に大きく移行し部分的結晶が起き、fcc-Pd(Si)とPd_3Siに加えてbct-Pd(Si)に近いと推測される未知の結晶相が出現する。その後の通常の昇温による結晶化完了後は回折反射が鋭くなるが成分は変わらない。文献では一軸応力下では結晶化開始温度が低温側に大きく移行しfcc-Pd(Si)が主生成相になること、静水圧下では結晶化開始温度が高温側に移行しfcc-Pd(Si)とbct-Pd(Si)が生成することが報告されている。また、我々は通電により一軸性内部応力が誘起されることを報告している。以上から、電気的・磁気的効果(通電効果)は(1)昇・降温サイクル効果の顕在化を抑止しており、(2)結晶化過程を大きく加速するが従来知られている応力効果のみでは説明が付かないことが分かった。例えば、一軸応力効果として核形成が原子変位により促進され、静水圧下では拡散型の核形成過程は抑止されるなどの機構が考えられるが、通電効果では未知の機構により関連する自由エネルギーが変化している可能性がある。興味深い現象であり、この追究と機構解明は今後の課題である。
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