Project/Area Number |
09243204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
日野 照純 千葉大学, 工学部, 助教授 (10105827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 賢太郎 千葉大学, 工学部, 助手 (00251182)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | フラーレン / 金属内包フラーレン / カーボンナノカプセル / アモルファスカーボン / 紫外光電子分光 / X線光電子分光 / 電子構造 / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究では、光電子分光法を用いて金属内包フラーレン・金属(金属カ-バイド)内包ナノカプセル・閉鎖空孔含有アモルファスカーボンの電子状態を明らかにすることを目的とした。 今回研究した金属内包フラーレンは、内部にスカンジウム原子を1個含むSc@C82である。Sc@C82の価電子帯の光電子スペクトルは、内部に金属を含まない空のフラーレンC82とよく似たスペクトルであり、このことは金属原子がケージ構造の内部に存在することの有無に関わらず、炭素原子が形成する骨格の電子状態は類似であることを示唆している。両者の光電子スペクトルの比較によって明らかにされた一番大きな変化は、金属内包フラーレンでは、フェルミレベルのすぐ下に電子の状態密度が見いだされることで、これは金属から炭素骨格へ電子が移動している証拠である。スペクトルの詳細な解析から、Sc@C82において金属から炭素ケ一ジに移動している電子量は1原子当たり2個であることが明らかとなった。これは理論計算から推定された値と良く一致している。 本研究年度内に研究を行ったナノカプセルはランタンカーバイド(LaC2)を内包したものであった。X線光電子分光法によりLa3dピークに注目して、ランタンの結合状態を周辺を覆っている炭素層の厚さの関数として、その変化を追跡した。その結果、炭素原子層が減少してもLa3dの化学シフトは変化しないことが明らかとなった。これは内部のカーバイドと、周辺の炭素原子層とは大きな電子移動に起因する結合はないことを示唆している。 閉鎖空孔含有アモルファスカーボンの電子状態を明らかにするために、加熱、アルゴンイオンエッチング等の方法により試料表面の清浄化を試みたところ、光電子スペクトルは顕著な変化を見せ、その変化は試料を超高真空下に放置しても、時間とともに変化していった。この原因は明らかでないため、今後さらに研究を行う必要がある。
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