Project/Area Number |
09244204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90133925)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 量子ホール効果 / 2層量子ホール系 / 複合ボソン / 分数統計 / スカ-ミオン / 量子位相 / 渦励起 / 非可換幾何学 |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、量子ホール効果を物理的によく説明する複合ボソン模型の不備な点を解決し、満足のゆく場の理論を完成させた。改良の要点は以下の様である。最低ランダウ準位の基底状態はラフリンの波動関数Ψ_<LN>[x]で表され、一般の状態は解析関数ω[z]を掛けてΨ[x]=ω[z]Ψ_<LN>で記述される。従来のボソン化はボソン的波動関数ω[z]|Ψ_<LN>|への写像として定義されていた。私はボソン的波動関数ω[z]への写像として改良ボソン化を提唱し、これを波動関数に持つ場の理論を構成した。最大の特徴は励起状態を半古典的近似で明快に解析できることである。特に、この理論をスピン自由度を持つ量子ホール系に応用して量子ホール強磁性状態を解析し、更に励起状態であるスカ-ミオンの諸性質を明らかにした。私の解析結果は従来の理論的結果を大幅に変更し実験結果を非常に良く説明する。 更に、私が提唱した2層量子ホール系に対する複合ボソン理論のアイディアを検証する実験を東北大学理学部超低温研究施設と同大学電気通信研究所高速知能システム研究施設と共同で行った。2層量子ホール系で2層の電子密度を自由にコントロールして量子ホール状態の安定性を調べた。具体的には、ホール平坦部の幅の長さと活性化エネルギーを測定した。その結果、占有率ν=1のホール状態は層間コヒーレンスが自発的に発生した擬スピン強磁性状態である事を、ν=2状態は電子密度を変えることによりスピン強磁性から擬スピン強磁性状態へ相転移する状態である事を実験的に確かめた。これは複合ボソン描像の予想と一致している。
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