パルプ漂白の工程水中に蓄積する物質の性況の解析とその除去法の開発
Project/Area Number |
09247205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 尭介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012074)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 塩素 / 化学パルプ / 漂白 / 熱分解 / リグニン |
Research Abstract |
漂白工程で溶出する有機物の分析法について、熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)を用いる手法を検討した。まず、漂白由来の物質のモデルとして、次のものを調製した。塩素化リグニンA:塩素化パルプから含水ジオキサンで抽出した物質、塩素化リグニンB:塩素化パルプから温アルカリで抽出した物質、酸化リグニンA:単離した未漂白パルプ残存リグニンをアルカリ性酸素酸化して得た物質、酸化リグニンB:単離した未漂白パルプ残存リグニンをオゾン酸化して得た物質 これらの試料を落下型の熱分解装置(SHIMADZU、PYR-4A)を装着した質量分析計付ガスクロマトグラフ(SHIMADZU、GC-17A+QP5000)で分析した。得られた熱分解生成物(数百種類)のマススペクトルをマスライブラリーに登録し、これらを用いて各試料間の相互の比較を行うとともに、実際の漂白排液中の成分の分析を行う際の標準マスライブラリーとした。MWL、残存リグニンの熱分解生成物の大部分は芳香核構造を持つものであるのに対し、酸化リグニンA、Bの成分解生成物の主要ピークはほとんどが、アルカン構造を有するものであった。また、酸化を軽度に抑えた場合、芳香核構造を有するものとアルカン構造を有するものの両タイプの熱分解生成物が観測され、この両タイプの比は、酸化の程度を反映していることが示唆された。塩素化リグニンA,Bのパイログラム酸化リグニンA,Bと共通するアルカン構造が主要ピークとして見られた。塩素化芳香核構造を有する熱分解生成物の存在は、他の酸化リグニンに見られない、塩素化リグニンに固有な特徴であった。 このように、アルカン構造を有する熱分解生成物を見出すことによって、パルプ漂白由来の高分子成分の熱分解GC法による分析が確立され、従来得られていなかった全く新しい重要な知見を得ることが可能になった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)