環境因子と生体内物質との相互作用によるヒト遺伝子損傷および感受性の解析
Project/Area Number |
09248216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 成人 三重大学, 医学部, 助手 (40263024)
村田 真理子子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | DNA損傷 / がん抑制遺伝子p53 / 生体内因子 / 発がん性 / 活性酵素 / 環境化学物質 / 紫外線 |
Research Abstract |
日常暴露され続けている変異原性陰性の発がん性環境科学物質のリスク評価は非常に重要である。また、最近の疫学調査でβ-カロチンが肺癌を増加させることが報告され、ビタミンAやビタミンEなどの抗酸化物質がヒトでの発がんを修飾する可能性が考えられる。本研究において発がんへの食生活因子の影響を解明し、環境発がん機構のより包括的な研究を目指す。本年度は(1)防虫剤の主成分で発がん性が指摘されているパラジクロロベンゼンの代謝物のうちハイドロキノン誘導体のDCHQとベンゾキノン誘導体のDCBQによるDNA損傷機構について解析を行った。その結果、DCHQ及びDCBQはCu(II)と生体内還元物質NADHの存在下で著しくDNAを損傷し、過酸化水素とCu(I)のDNA損傷への関与が示唆された。その他の変異原性陰性の発がん物質についても同様の結果が得られた。また、太陽紫外線と生体内物質の相互作用による塩基配列特異的のDNA損傷が紫外線発がんに関与する可能性を明らかにした。 微量栄養素のビタミンAとその代謝物レチナ-ルがCu(II)存在下でDNAを強く損傷した。培養細胞を用いた実験では、微量のビタミンA及びレチナ-ルで巨大DNA断片が検出され、酸化的DNA損傷の指標である8-OHdGも増加した。ビタミンE、尿酸および新規補酵素pyrroloquinoline quinoneも同様に微量でDNA損傷をもたらした。これらの結果は、抗酸化剤は酸化抑制作用と同様にその逆の作用である酸化促進作用も有することを示しており、抗酸化剤が抗発がんのみならず発がんにも関与する可能性が示された。今後、環境因子への感受性に対する食生活因子の関与のメカニズムを解明していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)