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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
植物細胞では液胞は成熟した細胞の体積の90%以上をしめる.植物細胞が伸長生長する際,細胞体積の増大は一般に液胞体積の増大によってもたらされる.高等植物における液胞構築の分子機構を明らかにする目的で,出芽酵母vam変異株1,2を相補するシロイヌナズナの遺伝子単離と機能解析を行ない,これまでに,出芽酵母のvam3p機能を代替することのできるArabidopsisのsyntaxin様分子,AtVam3pを同定している.本研究では植物個体内でのAtVam3pの発現抑制が,いかなる表現型をもたらすかを形質転換植物の作成を行うことにより解析した.動物のステロイドホルモン受容体と転写制御タンパク質を融合させた人工的転写活性因子をもちいた発現誘導系を使用し,AtVam3pのアンチセンスRNA発現による機能抑制をステロイドホルモンの存在・非存在で行った.形質転換植物は,dexamethasone(DEX)非存在下では野生型の植物と表現型に差は見られなく,また,AtVam3pの現存量にも差がない.一方,10μMのDEX存在下で生育された植物体の芽生えでは,AtVam3pは免疫ブロット法では検出できない程度に低下していた.このことはantisense RNAの発現により,AtVam3pの産生が抑制されたことを示している.芽生えの時期にantisense RNAの発現誘導をかけた場合,本葉を展開することなく枯死した.さらに,DEX非存在下で育てた芽生えを,DEX存在下に移植したところ,細胞伸長の抑制が観察された.以上の結果は高等植物の細胞伸長における液胞機能の重要性を分子レベルで実験的に示した重要な観察と考えている.
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