Project/Area Number |
09253209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 和彦 東京大学, 医学部・付属病院, 講師 (80240703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・付属病院, 医員
四柳 宏 東京大学, 医学部・付属病院, 医員
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
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Keywords | C型肝炎 / コア蛋白 / 肝癌 / 脂肪化 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
HCVのコア遺伝子とエンベロープ遺伝子を以下のようにマウス受精卵に導入した。 (1) B型肝炎ウイルス(HBV)のエンハンサー、X遺伝子のプロモーター、ポリAシグナルを用いて、HCVコア遺伝子、エンベロープ遺伝子を発現させるプラスミドを作製した。(2) コア遺伝子、エンベロープ遺伝子のそれぞれについて、5-6匹のファウンダーマウスが得られた。これらからそれぞれ34コピーの導入遺伝子をもつマウスを3匹を選び、掛合わせを行ない、F1マウスを得た。(3) これらのF1マウスにおける各導入遺伝子の発現をチェックして発現の良好なマウスをコア、エンベロープのそれぞれについて2系統ずつ選び、独立したトランスジェニックマウスのラインを樹立した。(4) エンベロープ遺伝子トランスジェニックマウスにおいては、肝に24か月間にわたって、炎症、腫瘍等の変化は見られなかった。一方、唾液腺においてシェ-グレン症候群類似の唾液腺炎を発症した。この唾液腺炎は、緩徐に進行性であるが、痩せ等の全身症状はきたさず、マウスは24か月齢の寿命を全うした。このシェ-グレン症候群類似の唾液腺炎は、慢性C型肝炎患者においても認められることが報告されており、今回の結果は、この病像をよく説明すると思われる。(5) これに、対してコア遺伝子マウスでは、3か月齢から肝において脂肪滴の著明な蓄積を認めた。この脂肪化(steatossis)は進行性であり、9が月齢では肝重量の50%が脂肪となっていた。しかし、12か月齢までは、炎症所見、腫瘍の出現は認められていない。 HCVのコア遺伝子、エンベロープ遺伝子をもつトランスジェニックマウスを作製したところ、エンベロープにおいては肝は全く正常であるが、シェ-グレン症候群に類似した唾液腺炎を発症した。ヒト慢性C型肝炎においても唾液腺炎の合併が報告されたことがあるが、確実とは言えなかった。今回の結果は、慢性C型肝炎における唾液腺炎の発症をよく説明しており、HCV感染における唾液腺炎の発症にHCVエンベロープ蛋白が重要な役割をはたすことを示している。また、コア遺伝子トランスジェニックマウスにおける脂肪肝の発生も、ヒト慢性C型肝炎における病像をよく反映しており、コア蛋白と脂肪化との関連を強く示唆している。今後、脂肪化の機序、肝発癌とのかかわりを検討していく。
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