Ret蛋白の変異によって生じる多様な臨床病態の解析
Project/Area Number |
09254222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 直也 名古屋大学, 医学部, 講師 (80273233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 教授 (40183446)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
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Keywords | Ret / MEN2型 / Hirschsprung病 / GDNF / Neurturin / Shc / SH2ドメイン / PTBドメイン |
Research Abstract |
Retは受容体型のチロシンキナーゼをコードし、多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A・2B型、Hirschsprung病の原因遺伝子である。リガンドはGDNFで、Retの活性化にはGDNFR-αを必要とする。神経芽細胞腫細胞株を用いて実験を行ったところ、GDNFの添加によるRetの2量体化、ShcとRetとの結合、Shcのリン酸化、ShcとGrb2の結合、GTP結合Rasの増加、MAPキナーゼのリン酸化が検出され、Ret→Shc→Grb2→SosからRas→MAPキナーゼへのシグナルが考えられた。ShcとRetの結合について解析で、MEN2a型変異ではRetはShcのPTBドメインとSH2ドメインの両者へ結合、2B型変異ではPTBのみに結合、GDNFによる活性化ではPTBとSH2の両者に結合した。結合様式の違いが、Shcを介したシグナルに影響を与え、MEN2A型と2B型の病態の違いが生じている可能性が考えられた。 GDNFファミリーに属するneurturin(NTN)について、米国のGenentech社と共同研究を行い、NTNによるRetの活性化を明らかにした。活性化にはNTNR-αが必要で、NTN・NTNR-α・Retの複合体により活性化が起きる。また、Retの細胞外領域のカドヘリン様構造について、Caイオンの作用を検討したところ、Caイオンを除去した条件下ではGDNF、NTNによるRetの活性化が起こらないことが判明した。リガンドとRetの結合にはカドヘリン様構造領域が、Caイオン依存症に作用していると推定される。 Hirschsprung病(HSCR)には、MEN2A型とHSCRの合併を示す家系が知られる。細胞外領域の変異により、HSCR型変異Retに細胞表面への蛋白の輸送障害が起こるが、MEN2A型とHSCRとの合併を示す家系の変異にも、Retの輸送障害が起こった。また、HSCRを合併しないとされるMEN2A型の家系の変異を解析した結果、輸送障害が起こる変異を見出した。したがって、これらの家系においてはHSCRの合併のリスクが潜在的に存在すると予想された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)