チロシンホスファターゼSHP-2の結合基質蛋白質SHPS-1に関する研究
Project/Area Number |
09254240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的崎 尚 神戸大学, 医学部・付属病院, 助手 (80252782)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 1997: ¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / SHP-2 / SHPS-1 / Ras / インテグリン / LPA / インスリン |
Research Abstract |
私達は、昨年度、チロシンホスファターゼSHP-2の脱チロシンリン酸化基質蛋白質、SHPS-1の遺伝子クローニングに成功した。SHPS-1は、分子量120kDaの受容体型の糖化膜蛋白質で、複数の免疫グロブリン様構造を細胞外部分に、4個のYXXL/V/Iチロシンリン酸化モチーフを細胞内部分に有している。そこで、本研究計画においては、さらにSHPS-1の生理作用を明らかにしようと試みた。野性型および、チロシンリン酸化部位を欠損させた様々な変異型SHPS-1cDNAを、CHO-IR細胞に発見させ、インスリン刺激によるSHPS-1のチロシンリン酸化とSHP-2の結合を検討した。その結果、SHPS-1のTyr449とTyr473がチロシンリン酸化部位であることが明らかとなった。さらに、野性型SHPS-1の過剰発現により、インスリンによるMAPキナーゼの活性化が、SHPS-1SHP-2複合体の形成の増加に伴い、有意に増強された。インテグリンを介したSHPS-1のチロシンリン酸化は、FAKやSRCキナーゼを欠損する細胞においてはほとんど認められなかった。LPAによるSHPS-1のチロシンリン酸化は、ボツリヌスC3酵素の処理で、ほぼ完全に抑制されRhoの関与が示唆された。免疫グロブリンFc領域との融合蛋白質としてSHPS-1の細胞外ドメインを大量に発現、精製した。これを探子として用いたところ、ラット大脳皮質神経細胞に特異的な結合を認め、現在発現cDNAライブラリーよりSHPS-1のリガンド遺伝子をクローニング中である。本研究により、インスリン、LPA、インテグリンを介した細胞接着刺激によりSHPS-1がチロシンリン酸化を受け、SHPS-1SHP-2複合体が形成され、Rsa-MAPキナーゼの活性化に関与している可能性が示唆された。インスリン受容体キナーゼによって、SHPS-1は直接チロシンリン酸化されるが、イテグリンによるSHPS-1のチロシンリン酸化には、FAK、SRCキナーゼが、重要であり、また、LPAによるSHPS-1のチロシンリン酸化には、Rhoが関与するようで、リガンド刺激によりSHPS-1のチロシンリン酸化の機序も異なるようである。今後さらに、SHPS-1SHP-2複合体によるRas活性化機序の詳細に関し研究を行う予定である。SHPS-1の細胞外ドメインに対する結合分子の遺伝子クローニングについても来年度可能になると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)