Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
G1/S移行期には、サイクリンD1-Cdk4、サイクリンE-Cdk2の順で、少なくと2種類のキナーゼがRB蛋白質のリン酸化を行うと示唆されている。しかし、なぜ何種類ものキナーゼが関与するのかということと、それらがどういうように使い分けされているのかということは、ほとんどわかっていない。本研究はそれを解明することを目的とした。RB蛋白質上には約13ケ所のリン酸化部位があるが、われわれにはこれらの部位を特異的に認識する抗体をほぼすべて作製してきたので、これを積極的に活用した。そして、次の諸点を明らかにした。1)RB蛋白質上のCdk4特異的部位がリン酸化されているとE2F-1との複合体形成が見られないのに対して、Cdk2特異的部位がリン酸化されていても複合体は形成される。 2)RB蛋白質のC末端側には、リン酸化に際してCdk2が先ず結合する部位が存在する。一方、p53上にも約13ケ所のリン酸化部位がある。これらのリン酸化の生理的意義を研究するために、われわれはこれらの部位を特異的に認識する抗体をほぼすべて作製してきた。そして、すでに、Ser15のリン酸化がp53の活性化に重要であることを明らかにしてきたが、他の部位についてもこれらの抗体を用いて意義を明らかにすることを試みた。そして、次の諸点を明らかにした。1)Ser20のリン酸化もp53の活性化に重要であり、かつ、そのリン酸化はDNA傷害や複製のチェックポイントに重要な働きをするChk2とChk1らしい。 2)カフェインが放射線に対する感受性を高めることは以前から知られていたが、これはATMとATRのキナーゼ活性を阻害することによって引き起こすらしいことを明らかにした。 3)p53のSer46のリン酸化がp53によるアポトーシス誘導能を制御していることを見いだした。
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