がんの免疫療法に向けての遺伝子導入によるTリンパ球の分化誘導
Project/Area Number |
09255210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高濱 洋介 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (20183858)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 1997: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | Tリンパ球 / T細胞 / 遺伝子導入 / がん / 免疫療法 / 遺伝子治療 / レトロウイルス / 胸腺 |
Research Abstract |
抗がん免疫応答に中心的役割を担うTリンパ球の分化を誘導する細胞内信号を理解し、T細胞の機能分化を本質的に促進する目的で、分化途上のT細胞に遺伝子導入する新しい手法を開発し、実際にこの方法を用いてT細胞分化におけるZAP-70の関与を解析した。 まず遺伝子導入法の技術検討のために、蛍光蛋白GFPを発現する組換えレトロウイルスを作製し、胸腺器官培養への遺伝子導入を試みた。その結果、未熟T細胞をウイルス産生細胞と平面共培養した後、胸腺環境に再移入することによって、最終的に40%以上のT細胞に遺伝子導入できる手法が確立できた。この時、IL-7存在下で共培養し未熟T細胞の分化能を保持することと、共培養後に遺伝子導入された細胞をセルソーターによって精製することの2点が技術的工夫として重要であった。 この遺伝子導入法を用いて、信号伝達分子の関与を解析するべくTCRに直接会合して信号惹起にあずかるチロシンキナーゼZAP-70及びその不活性変異体(KD-ZAP)の遺伝子導入を行なった。この時遺伝子導入細胞を検出するため、内存性リボソーム挿入配列を用いてZAP-70とともにGFPを産生するウイルスを構築した。その結果、KD-ZAPの強制発現によって、αβT細胞分化が未熟CD4-CD8-胸腺細胞期で停止し、γδT細胞の分化も抑制された。一方、ZAP-70欠損マウスにおいては、αβT細胞分化はCD4+CD8+胸腺細胞期まで進んで停止しており、γδT細胞も分化する。しかしながらKD-ZAPは、ZAP-70欠損マウスのT細胞分化をもCD4-CD8-胸腺細胞期で停止させた。最近、ZAP-70とSyk両者の欠損マウスにおいてT細胞分化が未熟CD4-CD8-胸腺細胞期で停止していることが示され、私たちの結果とともに、ZAP-70/Sykファミリーのチロシンキナーゼがこれまで考えられていたクローン選択の段階よりも未熟な段階のT細胞分化誘導に関与していることが明らかになった。 以上のように本研究では、分化途上のT細胞に効率よく遺伝子導入する手法の開発に成功し、その上で、導入遺伝子のT細胞分化に対する効果が解析できることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)