細胞周期関連遺伝子の導入による放射線抵抗性がんの感受性化機構
Project/Area Number |
09255227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮越 順二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70121572)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | 細胞周期 / 放射線感受性 / 遺伝子導入 / p16 / IKBα / アポトーシス |
Research Abstract |
ヒト由来脳腫瘍細胞(T98、A1235)にp16cDNAを組み込んだ発現プラスミド(pOPMTS)をトランスフェクションし、G418にて選択し,T98から14個のクローン、A1235から20個のクローンを選んだ。これらのクローンからRNAおよびタンパクを抽出し、P16遺伝子の発現について、ノーザンおよびウエスタンプロットを用いて検索した。これらのクローンのうち、それぞれの細胞株からp16を発現している4クローンずつを実験に用いた。p16遺伝子導入により得られた計8つのクローンと親株(T98、A1235)およびベクター導入株(T-V4、A-V3)の放射線感受性を比較した場合、p16発現クローン全てにおいて、親株やベクター導入株に比べて放射線に感受性となった。対照のベクター導入株は親株と比較して放射線感受性に有意な差が見られなかった。フローサイトメトリーにより親株(A1235)、ベクター導入株(A-V3)およびp16遺伝子導入クローン(A-C29)に関してフローサイトメトリーにより指数的増殖期における細胞周期分布を調べたところ、細胞株間における有意な差は見られなかった。次に、放射線照射後の細胞周期分布について解析した。3Gy照射後20および40時間後におけるDNAヒストグラムの結果、全てのクローンにおいてG1アレストならびにG2ブロックが見られた。とくにp16発現クローン(A-C29)においてその効果は顕著であった。さらに、16発現クローンでは、放射線照射後、部分的なDNAのマイクロフラクションが観察された。このことは部分的なアポトーシスが起きていることを示唆している。ヒトI-κBα/MAD3cDNAを発現ベクターpcDNA3に組み込んでI-κBαの発現プラスミドの作製を完了した。放射線抵抗性脳腫瘍細胞(MO54ならびにA172)にI-κBα発現プラスミドをトランスフェクションし、選択培地によりI-κBα発現クローンをチェックした。得られたI-κBα過剰発現クローンの放射線感受性を検索したところ、用いた2種の脳腫瘍細胞からの複数クローンにおいて放射線感受性が高まっていた。また、放射線感受性化の程度は、I-κBα過剰発現の程度にほほ比例していた。親株ならびにI-κBα発現クローンを用いて5Gy放射線照射後のNF-κBのDNA結合活性をelectrophoretic mobility shift assayにて調べたところ、親株では核分画におけるDNA/NF-κB複合体の増加が観察され、I-κBα発現クローンではこの複合体に変化は見られなかった。従って、この結果は、I-κBα発現クローンにおいて放射線照射後、NF-κBの核移行が阻害されていることを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)