Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
本研究は,テロメラーゼが癌の早期診断のバイオマーカーとして有用な腫瘍と,予後因子として有用な指標となる腫瘍を分類することを目的とし,外科的に切除した腫瘍検体のテロメア・テロメラーゼを検討し,それらの症例の進行度や予後との相関を検討した。成人癌516腫瘍,小児癌179腫瘍について,テロメア長,テロメラーゼ活性を測定し,臨床的背景とともに比較検討したところ、テロメラーゼ活性は全体の85%に検出され,乳癌,膵癌,小児癌では検出頻度が高く,こうした腫瘍ではテロメラーゼ活性が診断に有用と考えられた。一方,有意なテロメア長変化は33%(短縮24%,過長9%)で多くはテロメラーゼ高活性であった。テロメラーゼの活性レベルからみると,乳癌,食道癌,胃癌,大腸癌,神経芽腫では高活性腫瘍は進行例に有意に多く,予後不良で,これらの腫瘍ではテロメラーゼ活性レベルやテロメア長変化が予後因子としても有用であると考えられた。一般に悪性度が高い膵癌や横紋筋肉腫等では,病期が早期でも高活性でこうした腫瘍の早期発見にこそテロメラーゼ活性は極めて有用と考えられた。 そこで,早期診断に有用な腫瘍では,臨床微量検体(細胞診や針生検材料)での有用性を検討することを目的に,乳腺腫瘍の吸引細胞診(89検体),膵腫瘍の擦過細胞診(32検体)でテロメラーゼ活性を測定し,その診断への有用性を検討した。その結果、両者で感受性、特異性ともに80%以上であった。これらの腫瘍の診断は、テロメラーゼ活性と細胞診と組み合わせることでより正診率が向上することが期待される。
|