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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
ラット大脳からシナプス後肥厚部(PSD)を単離し,そこからRNAを抽出した.まずcDNAを作り、それをスターティングマテリアルとして,アイソトープ標識デオキシヌクレオチド存在下でPCRを行った.得られたPCR産物を電気泳動で分離後,オートラジオグラフィーにて検出,同定した.上記で用いた乾燥ポリアクリルアミドゲルから,個々のバンドを正確に切り取り,ゲル内に含まれる約650種のDNAを抽出・回収し,アガロースゲル電気泳動で精製した.こうして得られたDNAのうち,現在までに約150種ほどの塩基配列を決定した.DNAデータベースによるホモロジー検索の結果,23種類の遺伝子が既知のものであった.既にdendriteにmRNAが局在することが明らかにされているものの中ではMAP2が検出されていたが,他のものはそのmRNAのdendriteへの局在は報告されていないものであった.今回新たに未知の遺伝子として,しかもそのmRNAがdendriteに局在する可能性のあるものとして108個見つかった.我々はそれらを仮にDem gene(遺伝子産物はDem protein)と名付けた.それらのうち,比較的長いものの中から2種を選んで,in situ hybridization(digoxygenin法)を行いmRNAが本当にdendriteに局在するかどうかについての検証を行った.Dem-1は正常のアダルトラット脳の神経細胞に広く分布していた.さらに,カイニン酸による痙攣誘発後4時間の脳ではDem-1の発現は顕著に誘導されていた.その際,大脳皮質や海馬の錐体細胞においてはdendrite内に明らかなmRNAの発現を観察した.Dem-2においては,カイニン酸刺激前のラット脳にはmRNAを検出できなっかたが,カイニン酸刺激後4時間の大脳皮質,海馬の神経細胞において著しいmRNAの発現誘導を観察した.その場合にもやはり,発現は神経細胞の細胞体ばかりでなくdendriteにも観察された。これまでの結果から考えると,dendriteやPSD近傍に局在する遺伝子やタンパク質を同定するための方法として,我々の方法は十分に有効なものであると確認された.今後は,残りの約450種の遺伝子の塩基配列決定と,塩基配列決定のなされたものについてはin situ hybridizationやNorthern blotによる解析,さらに,full lengthを含む遺伝子のクローニングを進め,タンパクとしての機能を明らかにする計画である.
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