Project/Area Number |
09260215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (30126015)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | シナプス / MNTB / グルタシン酸 / シナプス伝達 |
Research Abstract |
聴覚系の第3次ニューロンである台形体内側核(MNTB)は音の強度差を指標とする音源の識別機構に関与する。生後4日令(p4)から13日令(p13)のラットを用いて脳幹のスライス標本を作製し、MNTB主細胞から興奮性シナプス後電流(EPSC)を記録しそのサイズおよび振幅の揺らぎを解析した。EPSCサイズは生後日令の増加に伴い平均で6.5倍に大きくなり、一方振幅の揺らぎは6分の1に減少した。さらに、EPSC振幅の揺らぎは細胞外Caイオン濃度の関数として,Caイオン濃度が減少することで増大する。しかし、細胞外Caイオン濃度への依存性が生後発達に伴い変化し、Caイオンヘの感受生が増大する。また、電気刺激後のシナプス電流発生のタイミングも生後発達に伴い揃い、電気刺激時刻でそろえて平均加算したシナプス電流の立ち上がり時間で示すと1.5msecから0.5msecに減少する、さらに非同期的に発生するEPSCが生後発達に伴い消失した。すなわち、生後の1週間程度の発達期間中に高い位相応答特性を示す、かつ伝達効率の非常に高いシナプスが完成する事を示した。さらに、こうしたシナプス伝達の完成の過程はシナプス前終末でのCa電流の量的な増大(2倍)を伴うことを明らかにした(Chuhma & Ohmori,1998)。シナプス前終末における細胞内Ca動態を検討した結果、生後発達過捏はおそらくシナプス前終末でのNa-Ca交換系の発達を伴い、活動電位の発生によって大量に流入するCaイオンを急速に除去する能力を高める結果として、シナプス前終末内静止状態でのCaイオン濃度を多少低めに設定し、活動電位発生に伴う大量のCaイオンの流入と、発達したCa除去機構によってシナプス伝達物質放出がより高い確率で、しかも同期的に起こる過程を実現するものと思われる。
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