神経幹細胞における神経回路形成に関与する遺伝子群の発現と機能の解析
Project/Area Number |
09260220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中福 雅人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80202216)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 神経発生 / 幹細胞 / 領域特異性 / ニューロン / ヘッジホッグ |
Research Abstract |
ヒトを含む哺乳動物の脳は、それぞれ異なる領域特異性をもった多様な細胞群によって構成されている。脳神経系の領域特異化のひとつである背腹軸に沿ったパターン形成においては、Sonic hedgehog(Shh)と呼ばれる分泌性シグナル因子が重要な役割を果たす。本研究では、我々が樹立したShh応答性の神経前駆細胞株MNS-70をモデル系としてShhの細胞内シグナル伝達の分子機構を解析した。まず、Shhの下流でZinc-finger型転写因子であるGliファミリー遺伝子群が機能することを明らかにした。Gli1あるいはGli2発現プラスミドを細胞に導入するとShhシグナルの標的であるHNF-3βおよびNkx-2.1が誘導され、逆にGli1あるいはGli2に対してdominant-negativeに作用するC末端を欠失したGli1断片を発現させると、Shhによる遺伝子発現誘導は完全に抑制された。また、Gli3を高発現した場合はShhの標的遺伝子の誘導は観察されず、むしろGli1,Gli2の活性を抑制した。従って、Gli1,Gli2はShhシグナルの伝達に必要かつ充分な転写因子であり、Gli3はこれらに対して抑制的に作用する因子であると結論された。また未処理のMNS-70細胞ではGl2,Gli3が構成的に発現しているのに対して、Gli1はShhが細胞に作用することによって強く誘導されることが明らかになった。従ってShhの初期シグナルはGli2によって伝達され、これに依存して誘導されるGli1はその後の細胞内シグナルの増幅過程に関与しているものと考えられた。本研究によって、Shhのシグナル伝達においてGli転写因子が主要な機能を果たしていることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)