脳分節形成および軸索形成におけるPax-6遺伝子の役割
Project/Area Number |
09260237
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大隅 典子 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第七部, 室長 (00220343)
|
Project Period (FY) |
1997
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | Pax-6遺伝子 / 変異ラット / 後脳 / 運動神経 / 細胞分化 / LIM遺伝子 / Wnt遺伝子 / in situ hybridization法 |
Research Abstract |
脊椎動物の脳形成はまず外胚葉に神経上皮が誘導され、その後背側で癒合して神経管が形成されるとともに、前後軸に沿ったいくつかのコンパートメント(分節)に分れることによりなされる。近年、多数の形態形成遺伝子やシグナル分子がこの脳分節に特異的に発現することが報告されており、脳の分節構造は形態的な単位であるばかりでなく、その後の領域特異的な神経細胞の分化や神経回路形成の基本単位として極めて重要な役割を果たしていると推定される。ショウジョウバエの形態形成遺伝子であるpairedのホモログの一つとして同定されたPax-6遺伝子は、転写因子をコードし、発生中の脳で領域特異的に発現する。本研究では実験発生学的手法と分子形態学的手法を駆使することにより、Pax-6の脳分節形成・維持、神経細胞の特殊化、および軸索伸長に対する役割を解析することを目的としている。今年度は、まずPax-6変異ラットを材料として菱脳部神経管のパタ-ニングに関して解析した。その結果、Pax-6変異ラット胚菱脳部では、体性運動性脳神経である外転および舌下神経が欠損し、菱脳・脊髄両レベルではEn-1遺伝子を発現する介在ニューロンが形成されないことが見いだされた。したがって、Pax-6遺伝子は神経管腹側のパタ-ニングに重要な役割を果たしていることが分かった。一方、Pax-6変異ラットは形態的にP1(前脳最尾側分節)と中脳の境界が不明瞭であることが観察された。またいくつかの中脳特異的遺伝子の発現が吻側にずれこんでいたり、P1特異的遺伝子の発現が消失していたことから、Pax-6変異ラット前脳ではコンパートメント形成が不全であり、特にP1のアイデンティティーが失われていることが示唆された。さらに、電気穿孔法により外来の遺伝子を培養胚に注入し異所性の遺伝子発現を誘導する系を確立した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)