蛋白質の動的構造と構造安定化機構を解明するためのNMR法の開発
Project/Area Number |
09261230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
楯 真一 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20216998)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | NMR / 蛋白質構造 / スピン結合定数 / 重水素標識 |
Research Abstract |
昨年度は、スピン緩和解析から蛋白質の内部運動性解析を行う方法の開発を行いこれまでは定量的な解析が困難であった^<13>Cα,^<13>=Oのスピン緩和解析も可能とした。これにより、これまでは^<15>N-^1Hの結合ベクトルのみをプローブとした蛋白質の内部運動解析を^<13>Cα-^1H,C^<13>=O CSAをも新たなプローブとして利用できる解析法確立した。本年度は、昨年の成果を更に発展させるべく、別な観点から分子内部運動を評価する方法の開発をその具体的な蛋白質への応用をおこなった。以下に項目別に成果をまとめる。 1)蛋白質内部のグリシン残基の内部運動性を評価するための同位体標識技術の確立: 蛋白質構造中柔軟な性質をもつグリシン残基の内部運動状態を、スピン結合定数、スピン緩和の両面から解析を行うためには、α位のメチレンの一方を立体選択的に重水素の置換しメチンとして挙動できるような状況を作る必要がある。本年度は、有機合成及び大腸菌のアミノ酸代謝の性質を併用して、pro-R,pro-Sのいずれにも選択的に重水素を導入することに成功した。また、これを用いていくつかの蛋白質の標識を行った。 2)選択的重水素化グリシンを用いた蛋白質内部のグリシン残基の運動性解析: 立体選択的に重水素標識したグリシンを用いることで、メチレン残基の^<13>Cスピン緩和に対しての系統誤差となるメチレンプロトン間のスピン緩和効果を除くことができ定量的なスピン緩和を解析が可能となった。また、その測定に基づいた内部運動性パラメータの抽出を行った。さらに、この重水素化グリシンを用いることで従来は観測不能であった^3J(NH,Hα)スピン結合定数を定量的に観測することを可能として、適当な運動モデルを過程として蛋白質中のグリシン残基のΦ二面角とその揺らぎの幅を定量的に観測した。 3)β位の選択的重水素化フェニルアラニンを用いた蛋白質内部でのX^1 rotamer解析: グリシン残基の場合と同様に、フェニルアラニンβ位のpro-R,pro-Sのいずれにも選択的に重水素標識を導入する合成法を確立し、それを用いて蛋白質を標識した。^3J(N,Hβ),^3J(C',Hβ),^3J(Hα,Hβ)の3種類のスピン結合定数の定量的な測定を開発し、測定結果に基づいて蛋白質内部でのX^1 rotamerの定量的な解析を行った。 4)メタロプロテアーゼ阻害蛋白質SMP1の立体構造決定と相互作用様式解析: 放線菌由来の阻害蛋白質SMP1は、thermolysin superfamily に属するメタロプロテアーゼに作用する唯一の蛋白性阻害剤である。本年度の研究成果の1つとして、その立体構造を初めて明らかとすることができた。また、得られたNMR構造に基づいてthermolysin の結晶構造を用いた、computer dockingの実験からその相互作用様式に関しての知見を得た。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)