変態に伴うコオロギ概日リズム位相逆転の神経・内分泌機構
Project/Area Number |
09265212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
富岡 憲治 山口大学, 理学部, 教授 (30136163)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 概日リズム / 神経回路 / 変態 / 昆虫 / 神経系 / リズム逆転 |
Research Abstract |
フタホシコオロギはその概日リズムが幼虫期の昼行性から成虫脱皮後約1週間のうちに夜行性に逆転する。この行動変化は、変態に伴い神経系内の神経回路が新しく作られることを意味している。本研究では、(1)脱皮による成虫化にともなうリズムの昼行性から夜行性への位相逆転が、どの様な神経回路の組み換えによって生ずるのか、また、(2)その神経回路組み換えに対するエクダイソンやJHの生理作用を明らかにすることを目的とした。 概日リズムを造り出す概日時計は脳の一部である視葉に存在している。そこでまず、ニッケルのバックフィルにより、その出力ニューロンの脳内投射領域を調べたところ、投射領域それ自体には幼虫成虫で大差は無いが、成虫では領域内での分枝数が特に脳中央部付近で著しく発達することがわかった。さらに、電位感受性色素を用いた光学的測定法により、視柄部を電気刺激して脳内の応答領域を解析したところ、幼虫では前大脳中央腹側付近が興奮性の応答を示すのに対して、成虫では抑制性の応答を示すこと、さらに、前大脳背側部では幼虫の抑制性応答に対して、成虫では興奮性となることが明らかとなった。これらの神経連絡の逆転が形態的な変化やリズム逆転とどの様に関係するかが今後の課題である。 一方、HPLC-ECDによる脳内アミン類の昼夜の比較では、成虫では幼虫に比べN-アセチルセロトニン量が夜間著しく低下することがわかった。このことはセロトニンがリズム逆転に関係するらしいことを示唆している。さらに、脳内セロトニン量は成虫脱皮直後に一時的に上昇することがわかった。セロトニンは一般的に活動量を減少させる働きを持つことから、脱皮後の低活動量の原因となると考えられる。この脳内セロトニン量の上昇とエクダイソン分泌量との関係、さらにリズム逆転との因果関係に興味が持たれる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)