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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
我々は,アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の合成研究を行なってきており,高血圧において重要な役割を果たすレニンの阻害剤,エイズの原因ウイルスであるHIVプロテアーゼの阻害剤などの合成を行ない,酵素と阻害剤の結合に必要な最小阻害活性部位の探索や高い酵素阻害活性を持つ化合物(KNI-272)の合成に成功した.この成功は,酵素反応のメカニズムに着目して,酵素・基質複合体および酵素・阻害剤複合体のコンフォメーションを解析し,酵素分子活性中心の基質遷移状態のコンフォメーションを固定したミミックをデザインするという新しく論理的な方法を用いたことによるところが大きい. X線結晶構造解析,NMR構造解析ならびに分子モデリングにより,KNI-272中のヒドロキシメチルカルボニルアイソステアは活性中心アルパラギン酸と,基質遷移状態と同様の様式で相互作用していることがわかった.すなわち,ヒドロキシ基はAsp125のカルボキシルアニオンと水素結合しており,カルボニル基はプロトン化されたAsp25と水素結合している.このことは,ヒドロキシメチルカルボニルアイソステアが理想的な遷移状態ミミックであることを示唆している. また,KNI-272の溶液中でのコンフォメーションが複合体中でのコンフォメーションとほとんど同じであることは,溶液中ですでに生物活性コンフォメーションに固定されていることを示唆しており,このプレオ-ガナイゼーションがKNI-272の高活性に寄与していると考えられる. さらに,阻害剤の体内動態をより良いものにするために,構造変換及びさらなる低分子化合物の合成を進めた結果,HIVプロテアーゼ阻害活性を持つジペプチドKNI-413とKNI-549を見いだした.
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