行為障害への記憶理論からの接近-習熟行為の解放・脱落および解放症状について-
Project/Area Number |
09268101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田邊 敬貴 愛媛大学, 医学部, 教授 (90171818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 恒彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70237733)
池田 学 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (60284395)
小森 憲治郎 愛媛大学, 医学部, 助手 (30294789)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 行為 / 観念運動失行 / PET / 3D PET / 慣習動作 / 道具使用動作 / パントマイム / ネットワーク |
Research Abstract |
ヒトの行為障害には、行為の解体症状である古典的な失行症の他に、解放症状として使用行動・模倣行動・道具の強迫的使用・他人の手徴候・鏡像運動、葛藤症状として拮抗失行、脱落症状として運動無視などがある。とりわけ道具の強迫的使用は前頭葉内側面病巣+脳梁膝部病巣と、運動無視症状は前頭葉内側面病巣との関連が重視されている。今年度は物品使用動作に焦点をあてて、実使用時の動作障害、物品を実際には持たずに動作のみを行うパントマイム時の障害、ならびに左手の運動無視を検討し、以下のように説明できることを示した(中川ら,1997)。 1)補足運動野が障害された場合は、自発的ないし自動的に運動記憶が引き出せない状態となり、対側の手に運動無視の症状がみられるが、外界からの刺激が入ると運動前野から運動記憶が取り出され運動は円滑に行なわれる。 2)左半球内側面に加え、脳梁膝部に病巣が生じると、右半球からの抑制がきかない状態となり、外界からの刺激に対して運動前野が自動的、無意識的に左中心回にある運動記憶を解発し、利き手である右手で学習したまとまった運動が解放され、道具の強迫的使用現象として現れる。 3)この補足運動野と運動前野という異なる運動解発系の存在から、失行症における習熟行為、すなわち手続記憶の取り出しに関する自動性-意図性の解離という現象が理解できた。 さらに本年度は予備的研究として健常被験者を対象に、視覚刺激による物品の命名・指示課題や道具使用動作中のPETによるfunctional studyを行い、課題の性質による脳の賦活部位に関する検証を試みている。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)