Project/Area Number |
09268201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 教授 (70091486)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | サル / 視線運動 / 滑動性眼球運動 / 前庭動眼反射 / 前頭眼野 / 視標速度 / 感覚運動信号変換 |
Research Abstract |
滑動性眼球運動と前庭動眼反射の干渉系で視標追跡運動を行うときには、視標の網膜上での動きと、それを追跡する眼球運動と前庭情報から視標の空間における速度が計算され、それに合わせて空間内で視線(空間での眼球)運動が行われる。その眼球運動成分は水平と垂直成分に分解され、最終的に直接経路と、間接経路である神経積分器を通して効果器の運動を起こす。今回は、この両運動系における視覚情報から最終的な運動情報の変換課程に前頭眼野領域がどのように関わるかを、訓練した日本サル3頭を用いて調べた。前頭眼野領域から滑動性眼球運動に応答したニューロンを103個記録した。この課題ではニューロンは追跡する眼球運動速度に比例して応答した。回転台と同時に視標を同方向へ同振幅で追跡させ、前庭動眼反射抑制課題を行うと、これらニューロンの大多数(85%)は、視線速度によく対応して応答し、これらニューロンの多数は、視標を短時間(200ms)消しても応答が殆ど変わらなかったので、視覚のみによって応答したのではない。滑動性眼球運動時の応答と前庭動眼反射抑制課題時の応答の最適方向は個々のニューロンでよく一致した。また、これらのニューロンは完全な暗黒化での前庭刺激にも応答した。さらに、これらのニューロンで、視標を静止させてサルに固視させ、もうひとつのレーザースポットを正弦波状に動かすと、滑動性眼球運動に応答した方向へのレーザースポットの網膜状の速度に比例して応答した。以上の結果は、前頭眼野領域が滑動性眼球運動と前庭動眼反射の干渉時に生ずる視線運動信号を持つだけでなく、それらを形成するために必要な情報である、眼球運動速度情報、前庭情報、視標速度情報のすべてもつことから、この領域で速度信号が形成されることを示唆する。
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