階層的時系列処理における機能配分の計算論的神経回路モデル
Project/Area Number |
09268205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
二見 亮弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20156938)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 神経回路 / 時系列 / 短期記憶 / 抑制後リバウンド発火 / 神経振動子 / 符号化 / 模倣音声 |
Research Abstract |
脳において用いられている可能性のある情報表現方法としての時間コーディング仮説は、概念処理において必要な結びつけ問題や視覚のパターン処理に関連があることから、近年多くの研究がなされてきた。我々は、相互に結合された停止可能な神経振動子の発火の位相によって、時間コーディングされたパターンを保持できることを、新しい神経回路モデルによって説明した。 モデルは弱く相互抑制結合された神経振動子群からなり、神経インパルスの順序の情報を抽出・保持し、繰り返し出力することができる。弱い相互抑制結合は、個々の神経振動子のバラツキを補償するために不可欠である。個々の神経振動子は強い相互抑制で結合された2個の抑制性ニューロンからなり、抑制後リバウンド発火によって発火が持続する。発振の機構に抑制後リバウンド発火を用いることは、遅い興奮性結合を用いる場合と比べて、発振周期が結合強度に大きく依存しない、介在ニューロンなしで速いIPSPによる相互作用が可能であり分解能のよい順序検出能力が得られるなどの特徴があり、脳における短期記憶の原理のひとつとして妥当であると考えられる。Hodakin-Huxley方程式に基づくパルス型ニューロンモデルを使った計算機シミュレーションにより、提案する神経回路モデルの有効性が確認された。このモデルは、神経系における抑制後リバウンド発火の役割に新しい解釈を与えるものである。 我々はまた、階層的なパターン遷移の検出と統合の原理によって、限られたパターンから構成される任意の時系列をおおまかに符号化できることを明らかにした。このモデルでは自己組織学習によって時系列符号化の機能が獲得され、時系列から記憶痕跡への写像に連続性が高い。モデルの評価には汎化能力を持つ時系列再生モデルを用いた。また、幼児の模倣音声学習のモデルに関して、どのような場合に学習が可能であるかを明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)