思考、判断の基礎過程としての作業記憶の神経機構の研究
Project/Area Number |
09268220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 総合人間学部, 教授 (00145830)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 前頭連合野 / ワーキング・メモリー / 記憶 / 単一ニューロン活動 / 相互相関分析 / 課題関連活動 / 作業記憶 |
Research Abstract |
作業記憶とは、ある課題の遂行に必要な情報を必要な期間能動的に保持する機構である。作業記憶の遂行に関与する前頭連合野の神経回路と、そこでの情報の流れを明らかにする目的で、同時記録した複数のニューロンの活動をもとに相互相関分析を行い、課題関連活動をもつ多くのニューロン対で、発火活動に有意な相関を観察した。しかし、同一課題内でも条件が異なること、また試行の時間経過に応じて処理される情報が異なることから、ニューロン発火に見られる相関の強さは、課題の時間的な文脈や課題内の条件の相違によわ変化すると想像される。そこで、視覚刺激の呈示される位置の異なる試行で、ニューロン発火の相互相関の強さが変化するかどうかを、興奮性の共通入力をもつ30対、興奮性の直接人力関係を示す41対を対象に検討した。その結果、共通入力をもつニューロン対の57%、直接入力関係にあるニューロン対の44%で、刺激呈示位置条件の違いにこよる相関の強さの有意な変化が観察された。相関の強さに変化の見られた対のいずれにおいても、correlogramのピーク値が変化したが、相互相関の種類の変化はなかった。また、課題関連活動に見られる位置選択性とcorrellogramのピ一ク値の変化との関係を調べたところ、最大応答を示す刺激呈示位値条件で最も強い相関の観察されるニューロン対が存在した。このように、共通人カをもつニューロン対、直接入力関係にあるニューロン対のいずれにおいても、相関の強さが課題内の条件により動的に変化することが明らかになった。このことは、課題内の条件の違いにより、前頭連合野ニューロン間の相互作用が動的に変化することを示しており、このような動的な変化が作業記憶における情報の統合や操作に関与していると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)