Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
能動的視覚パターン認識に関連した脳の種々のメカニズムに関して,神経回路モデルの構成した.そのなかでも特に,顔認識能力を持つ神経回路モデルの構築に重点を置いて研究を進めた.このモデルは,複雑な背景を持った画像中から顔を見つけだし,さらに目や口に注意を集中してその形状を切り出す能力を持っている. 顔画像の中では,顔の全体的な構造に関する情報は主に低空間周波数領域に,目や口などの詳細な部分構造に関する情報は高空間周波数領域に分かれて存在している.したがって,目や口の情報を抽出するためには高解像度の画像を処理する必要がある.しかし,高解像度情報だけを用いた処理では,パターンの変形や背景などの悪影響を受けやすく,安定したパターン認識能力を得ることが困難である.一方,低解像度情報を用いた処理では,入力の変動による悪影響は受けにくいが,パターンの微妙な違いを識別するのは困難になる.そこで,高低二つの解像度のチャネルをもつ神経回路モデルを構築し,低解像度のチャネルでは顔の大まかな構造を扱い,高解像度のチャネルでは目や口の詳細な形状を扱うようにした.高解像度および低解像度のそれぞれのチャネルは,いずれも,筆者の「選択的注意機構のモデル」とほぼ同じ構造を持っており,求心性信号と遠心性信号の相互作用によって,自分の見たいところだけに選択的に注意を向けながら入力情報を取り込んで処理していく. 高低二つの解像度のチャネルは相互に情報をやり取りしながら顔のパターンを処理していく.たとえば両チャネルの最上位段にある顔認識細胞は,顔の大まかな輪郭の情報を処理している低解像度のチャネルからだけでなく,目や口の認識を担当している高解像度のチャネルからも信号を受け取っている.したがって,顔のような形をした楕円形の物体があっても,それに目と口がついていなければ,顔ではないとして排除することができる.
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