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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
柔軟な安定性をもつ歩行運動の生成制御メカニズムを力学系の枠組で捉え歩行運動の制御機構を明らかにすることが本研究の目的である.摂動によりCPGの周期ダイナミクスが乱され,それが小脳からCPGへの周期的な制御信号により,再びある種の周期性を回復する過程は,周期的制御信号を受ける非線形振動子系でモデル化される.そのために,次の4つのレベルで研究を進めている:(1)外乱に対する歩行運動の計測とその応答の解析.(2)神経系による歩行運動パターン生成機構のモデル化.(3)神経系・筋骨格系・外部環境の相互作用のモデル化.(4)高次中枢による神経-骨格系の制御機構のモデル化. ここでは,(1)と(3)についてのみ報告する. (1)は比較的計測の簡単なヒトを用いて行っている.トッレッドミル上を一定速度・一定リズムで歩行する被験者の左右両肢の6関節角の時間変化を計測した.一脚の下腿にヒモを取り付け,歩行サイクルの様々なタイミング(位相)で被験者の後方から張力摂動を加えた.振動によって歩行リズムがどの程度変位したかが分かる.さらに,最終的に位相シフトの大きさが確定するまでの過渡的状態において左右肢の各関節サイクルの相対位相が摂動の位相に依存してどのように変化するかを解析した.このような摂動の位相に依存した応答に力学系の観点から解釈を与えた. (3)ここでは,剛体リンクモデルによってヒトの二足歩行のモデル化を行なった.各関節間に単関節筋を仮定し,その関節トルクによって剛体が運動するものとした.また,モデルは,大きな粘性を伴う硬い非線形バネからなる床反力のモデルを通じて床と相互作用するものとした.(1)で得られた計測データをモデルに入力し,摂動のない場合,および摂動を加えたときの各関節にかかるトルクを推定した.また,フィードバック制御を用いて自律歩行のモデルを構築し,(1)で示された摂動に対する歩行リズムのリセットを制御に採り入れ,その影響を定量的に調べた.
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