動的リンキングを基礎とした認知記憶生成の理論的研究
Project/Area Number |
09268236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
山口 陽子 東京電機大学, 理工学部, 教授 (00158122)
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Project Period (FY) |
1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1997)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1997: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | Dynamical Linking / Synchronization / Wave Propagation / Hippocampus / Speech Recognition / Neural Network |
Research Abstract |
環境の総体からの情報は生物の脳神経系の活動に変換される際に、局所的な情報に分解されて個々の神経活動に置き換えられる。これらの個別情報をどのようにまとめ、さらに記憶の生成、想起とどのように関連づけられるかが脳の認知機能における重要な問題である。われわれは非線形振動の引き込みの原理によってこの過程が統合されるという、動的リンキングの仮説に基づいて神経回路のモデル化と解析を進めている。 第1に、海馬場所ユニットのシ-タリズム位相歳差活動を解析した。振動神経回路で構成した認知地図のモデルにおいて、場所ユニット同志の結合により生じる波動伝播がシ-タリズムからの興奮性と抑制性の結合のバランスによって与えられる境界条件の制約を受け、その結果として位相歳差が生まれることが示された。以上は、知覚認識とエピソード記憶の相互依存的生成の原理の解明の手掛かりになると考えられる。第2に、聴覚皮質の波動伝播活動とその音声情報の結合・分節への寄与を検討した。われわれのモデルは神経振動子をコラムユニットとして結合した2次元神経回路であり、入力の周波数特性の時間変化(ソナグラム)が回路上の活動の伝播の軌跡として表現される能力を持つ。この回路の結合と分節の能力の可能性について、計算機実験により定量的に解析を行った結果、FMの急激な変動が波動のリセットの手掛かりになり、その条件が子音の特性と対応を持つことがわかった。また特徴の結合に寄与すると考えられる複数のフォルマントは,皮質上の伝播軌跡として調べた場合、入力に多少の時間遅れがあったとしても、伝播の引き込みが生じることがわかった。これらはいずれも構造安定性を持ち、認知機能としてのさらなる解析を進めている。 以上、振動神経回路に現れる波動伝播活動とその引き込みが時間発展をもつ情報のまとまりの生成に有効であることを示した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)